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有限会社 松本商店

ろうそくに思いを込めて 伝統の工芸品にも新製品を


経営革新計画のテーマ
松本商店 ろうそく手紙 新製品、ろうそく手紙の開発

和ろうそく製造業として、永く家業を営んできた松本商店。
全国各地の問屋・専門店、また最近では一般個人の顧客から発注に
応じて、ろうそくに絵付けをおこなっている。
展示会がきっかけで、ろうそくにメッセージを印刷できる技術と出会う。この「メッセージ印刷」と松本商店伝統の絵描き技術を融合させて、オリジナルの「ろうそく手紙」を開発した。
今後インターネットや、百貨店催事を中心に、売上高や付加価値を向上させ、経営革新を進めていく。

和ろうそくをご存知だろうか。まっすぐな円筒形である一般の洋ろうそくに比べ、下部が細くなっているものが多い。雰囲気のある、ゆらぐ炎が大きな特長である。洋ろうそくに比べ作業に手間がかかり、高価なこともあり、近年需要が限られたものになっていた。この和ろうそくの伝統を大切にしながらも、”絵手紙”ブームをしっかりとらえた“ろうそく手紙”で、業界に新風を吹き込んでいる有限会社松本商店をレポートする。

震災の追悼行事で目にした光景がヒントに。メッセージをロマンチックな炎に託す『ろうそく手紙』

ろうそく手紙に書き込むメッセージの原稿用紙を兼ねた受注書
ろうそく手紙に書き込むメッセージの原稿用紙を兼ねた受注書

ろうそく手紙は、和ろうそく1本に大体1行のメッセージを書き込み、それを6本セットなどにして、ひとつの文章にしていく。
「悲しい別れ」「ともに過ごした」「時間の長さだけ」「思い出が残る」「あなたに贈る言葉」「それは ありがとう」といった具合である。

“ろうそくにメッセージを入れたい”という要望に、松本社長が気が付いたのは、阪神大震災の追悼行事でのこと。松本社長自身、阪神大震災では自宅兼店舗が全壊したこともあり、1・17の追悼行事にはメインとなるろうそくを提供してきた。その会場で、亡くなった人達に思いを伝えるメッセージを、ろうそくに油性マジックで手書きする姿を多く眼にしたのである。
ろうそくに文字を入れられないかという要望もあったが、1本1本ろうそくに手書きするのは不可能に近く商品化には至らなかった。その後、個々に別々の文字をろうそくに直接印刷できる技術を知り、さっそく試してみたところ、採算もとりながら実現できることがわかり、この”ろうそく手紙”につながった。伝統の工芸品に最新の印刷技術を取り入れ、新製品につなげたところが評価された。

遠方で法事に参加できない人が、単なる品物ではなく、メッセージの入ったものを送る・・・、香典辞退の葬儀の場合でも、なにかお供えをしたい時などにも使われる。年賀・暑中のごあいさつ、結婚の引き出物、気のきいた贈り物など、仏事以外でも用途は広がっている。
昔は照明としての役割で広く普及したろうそく。今では仏事専用としての役割を担うだけとなっているが、ろうそく手紙は全く新しい風を吹き込むかもしれない。

震災の追悼行事で目にした光景がヒントに メッセージをロマンチックな炎に託す「ろうそく手紙」

有限会社松本商店 松本恭和社長
有限会社松本商店 松本恭和社長

「全国で残っているのは30軒ぐらいじゃないですか、和ろうそくを家業にしているのは」と、松本社長。
和ろうそくの最盛期は江戸時代。その後パラフィンの洋ろうそくに押され、さらには照明としての地位も電気に取って代わられ、「今では神仏に関係することだけではないか」と言う。勤めていた銀行を辞め、家業を継いだ時に考えたことは、まずどうやって和ろうそくを知ってもらうかということ。
人の目にふれるところで初めて実演したのが、三宮そごうの兵庫ふるさと祭り(兵庫県物産協会)。ヒトコマの3分の1のスペースだった。ちょうどバブル期にさしかかる頃、そこに出展すると100万円を売るのは普通という感覚、でも・・・
「最初ウチは1週間で3万円でしたわ(笑)。しかしいろいろなことを、まわりの人から教えてもらいました。何しろ小売は初めての経験ですから・・・」。


ディスプレイの方法から、実演をしたらどうかというアドバイス、マスコミに取り上げてもらうためにどんなことをすべきかまで、店を出している人との、なにげない会話の中でつかんだものは多い。
中でも、和ろうそくの実演は”畳2畳”でできるという強みに気づかされた。裸火の使えないところではIHヒーターを熱源に使う。今では全国各地で、年間30週は実演をこなしている。

新聞などにも取り上げられ注目を集めるろうそく手紙
新聞などにも取り上げられ注目を集めるろうそく手紙

また、そうした打って出る積極的な姿勢の中で知り合った同業者との付合いも、ひとつの財産になっている。
とくによく情報交換をしているのが、滋賀県と愛知県の和ろうそく製造会社である。年恰好も同じぐらいで意気投合。「何とかしないといけない」という問題意識も似かよっている。原料調達の情報交換から、いろいろな場所や媒体を使っての情報発信まで、知恵と力を合わせている。

できるだけ多くの人に、和ろうそくを知ってもらいたいという取り組みは、最先端の媒体や場所への出店のチャレンジにも表われている。自社のホームページを充実させるのはもちろん、楽天にも出店している。また、観光客や高感度な若い人が押し寄せる神戸の「北野工房のまち」にも出店。物販とともに体験教室も開いている。ぜひ、一度松本商店のホームページを訪れて欲しい。(http://www.warosoku.com

和ろうそく業界にとって追い風になったのは、2002年に放送されたNHKの朝の連続テレビ小説「さくら」である。主人公のさくらが下宿しているのが和ろうそく屋さん。半年間続くため、充分なPR効果があった。ろうそくに占める和ろうそくの割合が以前は5%程度であったが、今は10%程度にまで上がってきているのではないかと、松本社長は手ごたえを感じている。

“ろうそく手紙”の由来、家業を継いでからこれまでの経過、和ろうそく業界の現状や今後を、松本社長は、理路整然と話された。さすが元銀行マンである。ただ、言葉の端々にあるのは、和ろうそくへの思い入れやその魅力にとりつかれた熱い愛情である。「和ろうそく独特の炎のゆらぎが、仏さんが喜んでいるように見えるのです。きれいな絵付けを若い人は、和風インテリアとしてとらえています。お花の代わりにもなると思いますね。2~3日家を空ける時などは花は枯れてしまいますから・・・。まだまだいろいろな使い方が提案できるし、我々の和ろうそくの業界もしっかり生き残っていけると思います。」

新風を吹き込み、伝統を守る 経営努力の原動力は、和ろうそくへの思い入れ

作業場で一心に絵付けをする女性たち、蝋を熱した釜の前で丹念にろうそくの本体を作っている女性達、店頭に並んだ色鮮やかで、そして品格のある美しい和ろうそくの数々を見ていると、日本古来の伝統の工芸品をいつまでも大切にしていこうという矜持が感じられる。しかも新しい風を取り込み、発展させようという心意気も伝わってくる。最後に松本社長のこの言葉を紹介しよう。
「出荷する時は、娘を嫁にやる時の気分です。和ろうそくは、灯してもらうその瞬間が、いちばんきれいなのです。」
丹精込めた手作業で作りだされる和ろうそく

【会社概要】

有限会社 松本商店
代表者 松本恭和(やすかず)
本店 兵庫県西宮市今津水波町11-3
阪神(神戸線)久寿川駅より徒歩1分
和ろうそくKobe 神戸市中央区中山手通り3丁目17-1
北野工房内201号室
定休日 月曜日
電話 0798-36-6021
ホームページ http://www.warosoku.com