JFEアドバンテック株式会社

技術を複合化して環境貢献製品を開発
JFEアドバンテックはその名の通り、大手鉄鋼メーカーJFEスチールのグループ企業である。鉄鋼プロセスにおいて必要な秤量機の製造を出発点に、現在では、さまざまな「測る」技術を複合化して、水位・流量計測機器、計測診断機器、計量機器、海洋計測機器などの製造を行っている。製鉄所という過酷な使用環境で培われたノウハウに裏付けられた、信頼性の高い製品づくりに定評がある。
同社の製品は、一般の方が目にすることは少ないが、実は環境保全に大きく関わっているものが多い。例えば、水位計は、貯水池や井戸などの上水道施設、下水の処理場、マンホールなどの水位監視に利用されている。流量計および流量観測システムは、水路や河川の流速や水位、流量などの測定に利用され、水環境の保全はもとより、防災にも役立てられている。また、振動データを基に分析する設備診断システムや、超音波を利用した厚さ計は、工場やプラント施設などの設備保守管理に高い利便性を発揮している。こうした製品やシステムは、まさに環境や社会基盤の安全・安心を支える「縁の下の力持ち」といえるだろう。
有価物を10種類に分別
「JFEアドバンテック(株)は、地球環境の向上を経営の重要課題と位置付け、環境と調和した事業活動を推進することにより、豊かな社会づくりをめざします。」という同社の環境理念は、JFEスチールと共有するもので、地球環境の保全はグループ企業が一丸となって取り組むテーマである。
同社の環境取り組みは、大きく2つの方向に分類される。
まず一つは、同社の事業である環境貢献商品(環境を測定する、または環境負荷の低減につながる製品)の開発・販売によって、より良い環境づくりに貢献することである。先に紹介した製品群はまさにその典型で、同社ではこれらの品質向上や新技術の開発に力を注いでいる。
もう一つは、事業活動における環境負荷の低減である。電気、ガス、自動車燃料などのエネルギーの節減はもとより、特に資源の有効活用と廃棄時の再資源化に努めている。中でも全社員が一致団結して行っているのが、開発・製造・修理の各工程で発生する廃棄物から有価物(金属くず、電線くず、廃プリント基板、2次電池など)を分別する活動で、現在では有価物を10種類に分別している。その成果は目覚ましく、分別開始前の2004年と比較すると、現在は廃棄物の量が半減した。それに伴い、廃棄物の処理コストも大幅に削減できた。
猛暑の夏も手づくり設備で節電
厳しい暑さに見舞われた2011年夏は、「節電の夏」としても記憶に残る。事業の特性上、電気の消費量が比較的多い同社では、照明用の蛍光灯の間引きやエアコンの温度管理を強化し、節電に努めてきた。しかし、室温が上がると労働環境が悪化し、社員の健康に悪影響を与えかねない。そこで社員有志が水噴霧器を手づくりし、エアコン室外機の熱交換器部分に水を噴霧して冷房効率を向上させ、室温を快適に保ちながら電力量の削減を図った。同時に、建物屋上にも水噴霧が自動で行える装置を設置し、気化熱による熱放出を試みた。
このような創意工夫は、社員一人一人の環境意識から生まれてきたものだ。社員対象の環境標語コンテストには、全社員の半数以上が応募。優秀作品の「今までも、これからも、測ることから環境貢献」はポスターのスローガンとして採用され、社内のあちらこちらに掲示されている。「これからも環境貢献」のチャレンジは続く。
JFEアドバンテック株式会社
- 代表取締役社長:冨田省吾
- 資本金:3億1,950万円
- 従業員数:278人
- 本社:西宮市高畑町3-48
- TEL. 0798-66-1501