ニッカウヰスキー株式会社西宮工場

「樽ハイ倶楽部」を専門に生産
ニッカウヰスキーの歴史は、昭和9年、北海道余市町に設立された「大日本果汁株式会社」にさかのぼる。現在はアサヒビールグループの一員としてウイスキーを中心に製造。国内外にある8つの蒸留所、工場の中で、昭和34年に稼働した西宮工場は比較的新しく、現在はアサヒビールが料飲店向けに販売する「樽ハイ倶楽部」(樽入りサワー)の生産を行っている。
「もともとはウイスキーを製造していたのですが、平成10年に全ての設備を仙台工場に移し、それ以降は樽ハイ倶楽部のみを製造している」と総務部長の鈴山勲氏。
JR西宮駅から電車が大阪方面に動き出してすぐ、車窓から南に見える同工場。「樽ハイ倶楽部」は10リットル入りと19リットル入りの2種類の金属樽があり、工場では原料用アルコールと原料が調合され、樽詰めまでが行われ、出荷されている。「作り置きがきかないので、料飲店からの発注に合わせて製造したものを翌日には出荷する」という。
グループ方針に準拠し、取り組み進める
平成13年にアサヒビールの完全子会社となって以来、基本的にアサヒビールグループの方針に準拠して環境への取り組みが進められている。
例えば、CO2の排出や、水資源の無駄遣いを抑えるために、生産量当たりの電力使用量、水使用量、水蒸気の排出量などについても具体的な数値目標を毎年設けている。そのほかにも出入庫するトラックのアイドリングストップ、節電のためのエアコンの温度設定も徹底している。
また、「廃油をはじめ工場から出される廃棄物については、再利用の仕組みを構築している業者とのみ契約をするようにしている」と鈴山氏は話す。
工場独自の取り組みを推進
同工場にとって大きな転機となったのは、平成24年8月に隣接するアサヒビール西宮工場が撤退したことだ。
それまで「樽ハイ倶楽部」は、アサヒビールから生産設備を借りて受託生産を行ってきたが、平成24年9月以降は、生産設備を譲り受け、自社生産へと移行し“独り立ち”することになった。「それを機にうちの工場としてどんな環境の取り組みができるのかを考えた」と鈴山部長。
地域貢献活動についてもアサヒビール西宮工場の取り組みに、ニッカウヰスキー西宮工場から何人かの社員が参加する形をとっていたが、今年度からは「ひょうごアドプト」※という制度に登録し新しい取り組みをスタート。手始めとして6月3日、5人の社員が参加し、近隣の道路を500m弱にわたって清掃した。今年度中に6回実施し、全社員が参加できるようにするという。
「西宮工場にとって今年は新たなスタートの年」と位置付ける鈴山氏。今後は、アサヒビールグループの環境ビジョンに掲げられた「自然の恵みを明日へ」というスローガンに向けた取り組みについても進めていく予定で「特に水にはこだわり、将来的には西宮市の水源地の環境保全活動にも取り組んでいきたい」と高いレベルの目標を見据えている。
- ※「ひょうごアドプト」
- 兵庫県が管理する道路・河川などにおいて、地域住民がボランティアで清掃美化活動を行う代わりに県は活動に必要な保険や用具を提供する。アドプトは養子縁組の意味がある。
ニッカウヰスキー株式会社西宮工場
- 従業員数:26名
- 開設:1959(昭和34)年
- 所在地:西宮市津門飯田町2-118
- TEL:0789-65-1331
- ホームページ:https://www.nikka.com/