株式会社山一商会

ガラスびんはリサイクルの優等生
清酒、ビール、酢、ジャムなどの容器に使われるガラスびん。普段よく目にするものだが、「リサイクルの優等生」であることは案外知られていない。ガラスびんリサイクル促進協議会が平成21年に行った調査によると、ガラスびん製造時におけるカレット(※)使用率は、実に74.2%に昇る。容器包装リサイクル法が制定された平成7年ごろの利用率が65%程度であったことを考えると、ガラスびんのリサイクルは飛躍的に進んだことが分かる。
こうしたガラスびんのリサイクル率向上に貢献しているのが、山一商会である。創業は大正5年。明治40年に西宮では辰馬本家酒造(白鹿)が清酒のびん詰めを開始しており、次いでガラスびんメーカーの日本山村硝子が誕生した。つまり、清酒びん詰め出荷のスタート間もないころに、ガラスびん利用に関係する製造・利用・再生のリサイクルの輪ができたということだ。
(※)カレット 破砕されて再利用される空きびんなどのガラス
カレットの品質向上めざして
同社が創業した大正当時、ガラスびんは高価であったため、回収びんは再利用(リユース)が主流であった。しかし、ガラスびんの多様化や容器包装リサイクル法施行などの要因により、現在は回収びんを砕いてカレットに加工し、原料化するリサイクルが進んでいる。
カレットによるガラスびん製造は、天然資源からの製造時に比べ、CO2排出量とエネルギー使用量の両方が削減できるといわれる。また、リサイクル工程で排出されるごみが少量で、再資源率が高いのも特長だ。一方で、カレットに異物が混入するとびんの強度が著しく低下するため、リサイクル率の向上に伴ってカレットの品質がますます問われるようになってきた。つまり、不純物除去はカレット製造メーカーにとって最重要課題であり、リサイクルの推進には不可欠な処理工程といえる。
同社では、手作業による分別に加え、金属や陶磁器などの異物除去に効果が高いマイクロソート(自動選別機)を導入し、カレットの精度と生産性の向上に取り組んできた。同時に、自治体に対して回収方法の改善や分別収集の徹底を提言するなど、リサイクルの推進に力を注いでいる。
小学校での環境学習に貢献
平成15年、西宮市は全国で初めて「環境学習都市」を宣言した。その活動の一環としてNPO法人こども環境活動支援協会が「企業・学校・NPOによる環境学習支援プロジェクト」に取り組んだ。同社も同プロジェクトに参加し、ガラスびん関連企業の一つとして市内の小学校への出前授業を行っている。ガラスびんリサイクルの仕組みの説明や異物除去作業の体験を通じて、楽しみながら環境への関心を深めてもらうのがねらいだ。
同社の出前授業では、特に「空きびん排出ルール」の啓発に力を入れており、櫻田社長は「キャップを取る、中をさっとゆすぐ、空きびん以外のものを混ぜない、という3つのルールを説明すると子どもは素直に覚えてくれます。このルールを子どもたちから広げていきたい」と話す。
こうした出前授業に加え、小学校等の工場見学の受け入れにも積極的で、平成15年度に「兵庫県環境にやさしい事業者賞」を受賞。「人と地球にやさしく、自然との調和をなによりも大切に。」の社是の通り、今後も地域密着型の環境活動を進めて行く方針だ。
株式会社山一商会
- 代表取締役社長:櫻田 茂
- 資本金:1,000万円
- 連結従業員数:40人
- 本社:西宮市津門大塚町10番3号
- TEL:0798-33-5915