株式会社安田精機製作所

研究開発を支える「縁の下の力持ち」
プラスチックやゴム、電線、繊維、紙、塗料などの材料試験機の総合メーカーである安田精機製作所は、平成21年度に西宮市優良事業所顕彰を受賞した。これは、西宮市がものづくりの分野で優れた技術力・研究開発力を有する市内事業所を顕彰するもので、”知る人ぞ知る”同社の技術力にあらためて光が当てられたといえる。
同社の材料試験機は、素材メーカーや大学、研究機関などでの研究開発を支える「縁の下の力持ち」である。例えば、金属よりも軽くて強い炭素繊維強化プラスチックの利用普及が進めば、自動車や飛行機の軽量化が可能となり、ガソリン燃費の向上、つまり二酸化炭素排出削減につながる。こうした材料研究の場で、扱いやすく精度の高い試験機が果たす役割は大きい。
近年は、研究開発のスピードアップや効率化が一層求められている。これに応じて開発したのが、熱可塑性樹脂や合成ゴムなどの高分子物質全般の流動性を測定する完全自動装置である。材料試験の”手作業”の部分を全自動化したことで、データ取得の効率化を実現。ユーザーからも高い評価を得ている。
今や環境マネジメントシステムは不可欠
これまでも、環境にやさしい製品作りはもちろん、事業所として省エネや省資源を推進してきたが、期待するほど効果は上がらなかった。一方で、取引先からは「環境マネジメントシステムに取り組んでいるか」という問い合わせも増えてきた。
そこで、「今や事業活動に、環境マネジメントシステムは必要不可欠」との認識の下、平成21年5月に「エコアクション21(EA21)」の取り組みを開始した。EA21は環境省が定めた環境経営システムやガイドラインに基づく制度で、取り組みやすい環境マネジメントシステムとして全国の自治体や大手事業者、大学などが中核となり、普及を進めている。
最近では中小事業者の取り組みも増えてきている。
導入に当たり同社は、ひょうごEMS支援センターに支援サービスを依頼し、改善課題の抽出や活動方法についてアドバイスを受けた。経理総務部の安田課長が推進責任者となり、過去のデータ集約や現状把握を進め、同年9月に環境方針や推進体制を明文化した。
電気・ガソリン・廃棄物の削減に集中
環境への取り組みで同社が着目したのは、主に電気・ガソリン・廃棄物の削減である。
電気については削減目標値を決め、電力需給を監視し超過を防止するデマンド監視装置を取り付けた。電力消費量がメーターに表示されるため、不要な電灯や暖房は消す、昼休みは消灯するなどの節電意識が社員に広がっていった。
また、こまめに電気を消すことが、電気代の節減に効果的であることも分かった。ガソリン削減については、エコドライブ講習会を開催し、効率の良い運転方法を学んだ。
廃棄物については、納品箱をダンボールから再利用可能なプラスチックにシフトし、包装用の緩衝材も再利用するなど、きめ細かな取り組みを推進。結果として、電気代やガソリン代のコストダウンにもつながった。
翌年1月には西宮商工会議所の省エネ診断による改善提案を受けた。こうした取り組みが実を結び、6月にEA21の認証・登録を達成した。
「認証取得は出発点。社内が一致団結して、新たな目標に取り組みたい」と、安田課長は次のステップに期待を込める。
株式会社安田精機製作所
- 代表取締役社長:安田淑子
- 資本金:2,000万円
- 連結従業員数:45人
- 本社:西宮市山口町下山口121-1
- TEL.078-907-1511(代)
- https://yasuda-seiki.co.jp/