事業承継の考え方 – 後継者の選び方・教育方法
後継者の選び方と、起こりうる問題点
事業を承継する上で、後継者を誰にするかというのは大変重要な選択です。
1. 親族内での承継の場合
「親族への承継」を大半の社長が望まれていて、特に子供に継いでほしいと考えておられます。
- step1
学校卒業後しばらくは他社に就職させ、企業経営に役立つ勉強をさせることも大切です。その間のさまざまな経験は、将来経営者となる際に大いに役立ちます。 - step2
ひとかどの人物になったころ、自社に呼び戻し、社長のもとで帝王学を学ばせ育成していきます。 - しかし、親族内での継承には以下のような問題が生じる場合があります。
・子供がいないケース
・子供がいたとしても親の事業に興味を持たず、承継を望まないケース
経営者としての独立にはリスクも伴うため、ご本人が「事業を承継するよりも企業の従業員としての安定した生活」を望むことが考えられます。 - また、配偶者からの理解を得られず、反対される可能性もあります。
2. 役員・従業員等へ承継する場合
- やる気のある役員や従業員が承継に興味を持ち、「経営者になってみたい」と考えたとしても、いざとなると配偶者から反対されるケースはよくあります。
経営者になると現社長の連帯保証債務を引き継ぐことになり、企業の債務保証などのリスクも伴うため、配偶者の理解が得られないことがあります。 - 同業他社や異業種等(金融機関や取引先からも)からのヘッドハンティングで後継者を選ばれるケースでは、これも関係者からの理解が得られないと、必ずしも成功するとは限りません。
M&Aで承継する場合
- M&Aで事業承継をする場合に最も考えられる問題としては、「自社が魅力ある企業でなければ買い手がつかず、売却まで至れない」というケースがあります。
高い値段での売却はより難しいので、より良い条件で売却するためには財務内容や収益力を高めておく必要が生じます。
結論は、「企業を磨き上げ、より魅力ある企業にしておく」ことが、後継者探しのための最高の対策になると言えるでしょう。
後継者の教育方法
後継者に選んだ人物の足りないところや不安要素を見抜き、それぞれの後継者に合った教育計画を立てる必要があります。
社内での教育
- 経験と知識に不安がある場合
・各部門(営業・財務・工場など)をローテーションさせることで、自社についての知見を育てましょう。
・帝王学を学び、現経営者による直接指導によって、経営上のノウハウや業界事情、経営理念の引継ぐことも大切です。 - 経営としての自覚が足りない場合
まずは責任ある地位に就け、権限を委譲しましょう。重要な意思決定や、リーダーシップを発揮させることで、経営に対する自覚を育てます。
社外での教育
- 社外での勤務を経験させる
人脈の形成や、新しい経営手法の習得を目指す方法があります。自社には無かった経営手法が学べるという大きなメリットがあります。 - 子会社・関連会社等の経営を任せる
事業承継の前に子会社や関連会社の経営を任せることで、責任感やリーダーシップを発揮させ、経営に対する自覚を高めることに繋がります。 - 外部のセミナーや研修の活用
後継者育成のための経営者に必要な、知識の習得・経営手法を学ぶことができます。